BTS 洋楽

【MV考察】Coldplay X BTS「My Universe」ミュージックビデオの意味とは?(感想・和訳・あらすじ・登場人物・コロナとの関連性)

投稿日:2021年10月17日 更新日:

MVの日本語字幕版はこちら

みなさんこんにちは、ハル次郎です。先日ColdplayとBTSがコラボした楽曲「My Universe」のミュージックビデオが公開されました。僕の大好きな2組が国境を超えて繋がったので驚きです。この記事ではそんな「My Universe」のMVに特化して考察していきます。

「My Universe」のミュージックビデオは世界観が作り込まれており、言及すべき点がたくさんあります。しかし特集した記事などがほぼないのが現状です。《ないなら自分で「My Universe」のMVについて文章にしよう!》と思いできたのがこの記事です。ここまで詳しくMVについて考察した記事は、他にないと思います(少なくとも日本語では)。登場人物やあらすじ、僕の感想も記述しました。ぜひ最後まで読んでくださいね。

目次

「My Universe」ミュージックビデオの登場人物

あくまで登場人物の解説です。ColdplayやBTSなどの実在するグループも、ミュージックビデオ内の設定を記述しています。またメンバーひとりひとりにはフォーカスせず、グループ・集団単位での解説になります。

登場人物① DJ LAFRIQUE

My Universe のMVに出てくるDJ LAFRIQUE

顔にメイクを施した女性DJ。音楽が禁じられている銀河で、その禁止に背いた3組(Coldplay、BTS,、Supernova 7)を結託させ、エイリアンラジオシップを開催した。小型宇宙船で3組の音や姿を受信し、 銀河中に放送。

音楽を止めさせようとする THE SILENCERS の大型宇宙船に飲み込まれそうになるが、ワープ機能を使い脱出した。名前のLAFRIQUEはフランス語で “アフリカ” を意味するl’afriqueが由来だと考えられる。

登場人物② Coldplay

My Universe のMVに出てくるColdplay

4人組のバンドで、音楽の禁止に背いた3組のひとつ。青い輪を持つ茶色の惑星から、エイリアンラジオシップに参加した。ホログラムシステム・HOLOBAND を使い、BTS、Supernova 7 とともに「My Universe」を披露。 メンバーの Chris Martin(写真:左から2番目)がメインボーカルを務める。

登場人物③ BTS

My Universe のMVに出てくるBTS

7人組のボーイズグループで、音楽の禁止に背いた3組のひとつ。海の上に浮かぶプラットフォームから、エイリアンラジオシップに出演した。ホログラムシステム・HOLOBAND を使い、BTS、Supernova 7 とともに「My Universe」を披露。楽器は使わず、歌・ラップ・ダンスで人々を魅了する。音楽を止めさせようとする THE SILENCERS の監視ドローンを、メンバーのV(写真:真ん中)が墜落させた。

登場人物④ Supernova 7

My Universe のMVに出てくるSupernova 7

エイリアンによる音楽グループで、音楽の禁止に背いた3組のひとつ。 身長や体格が異なる7人の宇宙人から構成されている。赤い惑星・SUPER SOLIS からエイリアンラジオシップに出演した。ホログラムシステム・HOLOBAND を使い、Coldplay、BTSとともに「My Universe」を披露。 音楽を止めさせようとする THE SILENCERS の監視ドローンを、ドラム担当するの大型ロボット(?)が大砲で撃墜した。

登場人物⑤ THE SILENCERS

My Universe のMVに出てくる THE SILENCERS

音楽の禁止を破った者を取り締まる組織。名前を翻訳すると「沈黙させる者たち」という意味になる。どのような姿の種族(人間?エイリアン?ロボット?AI?)による集団なのかは、MVでは明らかにされておらず不明。写真は彼らの持つ大型宇宙船の吸引口。

MVでは音楽の禁止に背いたColdplay、BTS、Supernova 7 のもとに監視用のドローンを送り込んだ。しかしBTSのV、Supernova 7 の大型ロボット(?)に撃墜される。

また3組の音を受信して銀河中に放送した DJ LAFRIQUE の小型宇宙船を、大型宇宙船で封じようとした。しかし小型宇宙船を飲み込む直前に、ワープ機能を使い逃走されてしまう。

「My Universe」ミュージックビデオのあらすじ

ColdplayとBTSのコラボ曲「My Universe」のミュージックビデオのポスター写真

今から遠い昔、とある銀河では音楽が禁止されていました。しかし3つ惑星から、その禁止に背く集団が現れます。Coldplay、BTS、Supernova 7(=エイリアンの音楽グループ)です。それを知ったDJ LAFRIQUE(=小型宇宙船に乗る女性)はその3集団を結託させます。

3組はエイリアンラジオシップで「My Universe」を披露。それぞれ離れた場所にいても、ホログラムシステム・HOLOBANDがあるので歌唱・演奏をピッタリ重ねることができます。小型宇宙船に乗るDJ LAFRIQUE が3組の音を受信して、銀河中に放送しました。

しかし銀河では音楽を楽しむことが許されていません。彼らのもとに、THE SILENCERSの魔の手が忍び寄ります。まずはそれぞれの惑星に監視用のドローンが送り込まれました。

BTSとSupernova 7はドローンを墜落させます。BTSのVは石のような物を投げつけ、見事ドローンに命中。Supernova 7 でドラムを担当する大型ロボット(?)は、手から大砲を発射し監視を防ぎました。彼らは音楽を披露し続けます。

THE SILENCERS も黙ってはいません。今度は超大型宇宙船を DJ LAFRIQUE のもとに送り込みます。彼女の乗る小型宇宙船は、今にも大型宇宙船に飲み込まれそうです。制御不能よってホログラムシステム・HOLOBANDは停止してしまいました。そのため3組が互いに音を重ねることはできません。

しかしこれで終わりではありませんでした。 DJ LAFRIQUEが小型宇宙船の赤いボタンを押したのを合図に、3組は再びパフォーマンスを始めます。彼女が乗った小型宇宙船は、大型宇宙船に飲み込まれる間一髪のところでに、ワープ機能を使い宇宙の彼方に姿を消しました。MVは「We are allowed in the universe(この銀河で音楽が許された)」という一文で幕を閉じます。

「My Universe」ミュージックビデオの考察

考察1 コロナ渦の状況を反映?

My Universe NO MUSIC

ミュージックビデオを観て、僕は「コロナ渦の状況が大きく反映された作品だな」と感じました。2020~2021年は世界中で音楽ライブが止められ、ミュージシャンたちは音を鳴らすことが制限されました。

その状況をこのMVでは、SF(サイエンス・フィクション)の世界観に置き換えて表現されていると考えられます。MVの中では、銀河中で音楽が禁止されています。これはミュージシャンがコロナ渦で置かれた状況そのものです。MV公開のタイミング(2021年9月30日)を考えても、これは間違いありません。

考察2 THE SILENCERS はコロナウイルス

My Universe のMVに出てくる THE SILENCERS とウイルス
写真左:THE SILENCERS の大型宇宙船
写真右:ウイルス拡大図(イメージ)

このMVで注目すべきなのは THE SILENCERS(和訳:沈黙させる者たち)と呼ばれる組織です。彼らは音楽の禁止を破る者を取り締まろうとします。Coldplay、BTS、Supernova 7 のもとには監視用ドローンを送り込みました。また大型宇宙船で DJ LAFRIQUE の乗る小型宇宙船を捕らえようとしました。自分たちは姿を表さず、浮遊するドローンや宇宙船で活動します。

この THE SILENCERS はコロナ渦における、新型コロナウイルスそのものを指していると考えられます。コロナウイルスは、ミュージシャンたちが音を鳴らすことを止めさせました。また姿が見えず、浮遊しているという特徴も一致しています。THE SILENCERS の大型宇宙船が、ウイルスと同じ形なのが何よりの根拠です(写真上)

考察3 敵はあくまでもコロナウイルス

My Universe のMVに出てくる宇宙船

考察2で THE SILENCERS は、コロナウイルスそのものを指すと述べました。そんな THE SILENCERS は他の登場人物たちの敵として描かれています。つまり、新型コロナウイルスがミュージシャンたちにとっての敵ということです。僕がいいなと思ったのは、戦うべき相手をコロナウイルスだと捉えている点。

コロナ渦では多くのミュージシャンやそのファンが、コンサートの規制に関して政府や自治体を非難してきました。しかしもとはといえばすべての原因はコロナウイルスです。政権批判も有権者として大切ですが、このMVは僕らが本当に立ち向かうべき相手を思い出させてくれます。

考察4 観客が全く出てこない

My Universe のMVに出てくるHOLOBAND

「My Universe」のミュージックビデオの特徴として、観客が登場しないことが挙げられます。Coldplay、BTS、Supernova 7 はエイリアンラジオシップに出演し、彼らの音楽は銀河中に放送されました。しかしラジオのリスナー(聴き手)がMVに一切登場しません。

音を奏でて、それが多くの人を幸せにするという趣旨であれば、リスナー(聴き手)がラジオを聴く姿が映るのが自然です。しかし本作ではそれがありませんでした。これはMVが《コロナ渦におけるアーティスト側の視点》から描かれているためだと考えられます。

コロナの期間中、アーティストは無観客ライブやTVパフォーマンスしか行えませんでした。曲を披露しているとき、アーティストの前には観客の姿がありません。このコロナ渦独特のアーティスト側の視点が、MV反映されたと考えることができます。もしかしたら「音を届ける」ことよりも「音を奏でる」ことにフォーカスしたMVなのかもしれません。

まとめ

この記事ではColdplayとBTSによるコラボ曲「My Universe」のミュージックビデオについて考察しました。ジャンルとしてはSFであるものの、細かく見るとコロナ渦の状況が大きく反映されたMVだということが分かりました。

「音楽を奏でるのが禁止された銀河」という設定は「ライブを行うことが許されていないコロナ渦の世界」と重なります。敵の宇宙船はウイルスと似た形状で、アーティスト同士がオンラインで繋がる様子からも、コロナの影響を受けていることは間違いないでしょう。観客が見えないというコロナ期間独特の視点も盛り込まれていました。

-BTS, 洋楽
-

執筆者:

関連記事

ワンオクの「Push Back」に散りばめられた3つのQUEEN要素[歌詞の和訳と意味を考察]

ONE OK ROCK の楽曲「Push Back」はイギリスのロックバンド QUEEN を意識して作られています。本記事ではその詳細について述べます。 「Push Back」とは? 「Push Ba …

BTS「Dynamite」は名曲を生み出そうとして作られたのでは?【楽曲考察】

韓国のボーイズグループ・BTSの新曲「Dynamite」を最近やっと聴きました。この記事ではその感想を書いていきます。 ノリノリになれる曲 新曲「Dynamite」 を聴いた僕の感想は… …